安定した高血圧症や、安定した脳卒中後遺症、安定したAFなどの外来診療にかんしては、レジデントも指導医もつい流しがちになりますが、 家庭医療におけるその重要性はいうまでもありません。いわゆるフィードバックスキル(5つのマイクロスキルなど)はどちらかというと急性期外来やERなど で有効で、症状のかわらない慢性疾患では適切でない場合がおおいです。このGRIPEモデルの枠組みは、こうした安定した慢性疾患外来診療についての フィードバックの枠組みとして有用だと考えています。
Guidelines and Goals. (ガイドラインとゴール)
このステップは学習ニーズの評価である。以下の質問により、指導者は学習者を診断し、学習者がその疾患についてどのくらい良く理解しているのかを判断できる。
- 学習者はその疾患に関する何らかのガイドラインを知っていますか?
- 学習者はその疾患のステージングシステムを知っていますか?
- 学習者はこの患者に対する個別のゴールを設定していますか?
Reflect on the patient. (患者についての振り返り)
次の3つのステップで、指導者は学習者の患者ケアスキルを評価できる。このステップは患者の診断に焦点を当てている。
- 学習者は患者の疾患がどのくらい良くコントロールされていると考えていますか?
- その学習者の意見はどのデータに基づいていますか?
- 患者に影響を与えている心理社会的な要因は何ですか?
- 患者のアドヒランスは良好ですか?もしそうでなければ、それはなぜですか?
Interventions. (介入)
このステップは、指導者が学習者の思考過程を評価し、疾患に関する適切なマネジメントの方法を知っているのかを判定できる。
- 学習者は治療法を変更したいと思っていますか?それはなぜですか?
- 学習者が患者に対して推奨した生活習慣は何ですか?
- 学習者は何か検査を追加オーダーしようとしていますか?それはなぜですか?
- 学習者は患者に何らかの患者教育的に役に立つ話題を提供しましたか?
Prevention, Pain and Palliation. (予防、疼痛、緩和)
このステップでは、受診の理由となっている当該の慢性疾患以外の、重要な患者ニーズへの対応能力が学習者にあるのかどうかを明らかにする。
- その患者に必要な予防医学的介入やスクリーニングテストはありますか?
- 患者は痛みがありますか?もしそうであれば、学習者はどのように取り組みましたか?
- この患者には緩和ケアの適応がありますか?
- 適切なタイミングで、学習者は患者と終末期に関する問題に取り組んでいますか?
Effective Feedback. (効果的なフィードバック)
このステップでは指導者は発展的なフィードバックを行い、鍵となるティーチングポイントを与える。
- 学習者のプレゼンテーションと診療計画のよい特徴を褒めましょう。
- 改善可能な事柄に対し自ら修正できるように、簡潔で具体的なフィードバックをしましょう。
- 少数のティーチングパールを与えましょう